私は、60歳になるある日、突然急激な視力低下がはじまり、視覚障害者となりました。 しかしながら、その事実に絶望する自分はそこに居ませんでした。ただ、単純に「今の状況を受け入れよう」。これは自分でも不思議でした。
あたりまえに暮らしてきた日々の中で、急に障害者となった私にできることはなにか──。こんな想いがうまれた瞬間です。

例えば、視覚障害者のために設置された音響信号。歩行が可能となったことを知らせるメロディが鳴る信号機のことだが、交通量の多い交差点に設置されていることが多い。しかし、視覚に障害を持つ私からすると、交通量の少ない交差点に設置してもらったほうが安心度は高い。
また、障害者が持つ「白杖」。目的にばかり意識がとられ、利便性に欠けている物が多い。
こんなことに気づけたのは私が視覚障害者になったからだ。 今の境遇に目を背けるのではなく、（そもそも見えないから背けようがないのだが…）ほんとうに必要なものを自分自身で創造し、私と同じ境遇の方々をはじめ、社会のスタンダートを見つめなおしていきたい──。

それが私のモチベーションであり、ブラインドソリューションの存在意義なのです。

合同会社ブラインドソリューション
代表 日下部 麗
Rei Kusakabe